女医ブログを読んでいただき
ありがとうございます。
今回は、
頸管無力症などの治療として行われる
頸管縫縮術
- シロッカー手術
- マクドナルド手術
について詳しくみていきます。
目次
子宮頸管縫縮術はどんな手術?
シロッカー手術とマクドナルド手術は
どんな手術なのでしょう?
出典:http://shotake.hatenablog.com/entry/2017/08/29/190000
この図をみてもらうとわかりやすいです。
胎胞と書かれてある場所に、羊水や胎児がいます。
シロッカー手術は、
胎胞に近い側(内子宮口)で子宮頚管を縛ります。
マクドナルド手術は、
より膣に近い側(外子宮口)で子宮頚管を縛ります。
シロッカー手術の方がマクドナルド手術に比べ、
内側に近い所で縛るため、侵襲が高いです。
※侵襲とは
「体を傷つけること」を言います。
つまり、「侵襲が高い」ということは
沢山体を傷つけるということです。
子宮頚管縫縮術はいつ行われるの?
子宮頚管縫縮術には、
①予防的子宮頚管縫縮術
②治療的子宮頚管縫縮術
というものがあります。
予防的子宮頚管縫縮術とは?
子宮頚管の開大や短縮が起こる前に
それを予防する目的で行います。
予防的子宮頚管縫縮術をいつ行うのが最もよいのか、
については、きちんとしたデータが出ていません。
しかし、妊娠初期では自然流産をする可能性も
一定数あります。
そのため妊娠12週以降(自然流産の可能性がぐっと下がるため)
の出来るだけ早い時期に行うことが望ましいとされています。
一般的には妊娠13~16週で行われることが多いようです。
治療的子宮頚管縫縮術
子宮頚管の開大や短縮が起きてか
予防的ら
それを治療する目的で行います。
治療的子宮頚管縫縮術は子宮頚管無力症と診断された時が
手術時期となります。
妊娠の何週まで手術を行うかについてはデータがありません。
しかし、一般的には
分娩となっても健康な子供が産まれる事が期待できる
妊娠28週以降は行われることは少ないです。
ですので、子宮頚管無力症と診断されてから妊娠27週頃まで
が手術時期となります。
妊娠週数と頚管の状態・子宮収縮の程度・感染・出血などの
様々な状態を総合的に評価し、
治療的子宮頚管縫縮術と安静のどちらにメリットが多いかを
検討して手術を行うかどうかを決めます。
禁忌は?(手術をしてはいけない)
子宮頚管縫縮術の禁忌(やってはいけない場合です)は、
①コントロールできていない子宮収縮(陣痛)がある場合
②破水している場合
③子宮内感染がある場合
になります。
ですので、上記の状態がある場合は、
妊娠何週だとしても、子宮頚管縫縮術は行われません。
合併症
予防的子宮頚管縫縮術では
破水・感染による流産の可能性が2%程度あります。
治療的子宮頚管縫縮術では
頚管の開大・短縮が進んでいるほど、
また妊娠週数が進んでいるほど、
破水・感染・陣痛発来のリスクが高くなります。
予防的子宮頚管縫縮術に比べて
治療的子宮頚管縫縮術では
合併症のリスクが高いのですが、
実施される状況によって大きく違ってきますので
数値として示すことは出来ません。
どちらの手術法が選択されるのか?
シロッカー手術とマクドナルド手術については、
色々な意見があります。
- シロッカー手術の方が、マクドナルド手術より
効果が確実なので、できるかぎりシロッカー手術を
行うべきである。 - どちらの手術も効果は同等なので、侵襲の少ない
マクドナルド手術を行うべき。
相対する意見が出ていて、今も答えが出ていません。
基本的な選択基準は?
予防的子宮頚管縫縮術も
治療的子宮頚管縫縮術も
原則としてシロッカー手術を選択します。
シロッカー手術が不可能な場合には
McDonald手術を選択します。
ただし、胎胞形成・脱出例において
治療的子宮頚管縫縮術を行う場合は
シロッカー手術では破水する可能性が高くなるため、
原則としてMcDonald手術を選択します。
頚管縫縮の解除はいつ?
自然分娩の場合は
多くの場合、妊娠36~37週で抜糸します。
抜糸自体は数分で、麻酔もなにもせず行うことができます。
帝王切開で分娩する場合は
帝王切開時の手術終了後にそのまま手術室で
行うことが多いようです。
陣痛が来てしまった場合や
前期破水がおこった場合、
子宮内感染がみられる場合には、
週数問わず直ちに抜糸する必要があります。
シロッカー手術とマクドナルト手術のまとめ
今回は子宮頚管縫縮術の詳細についてみてきました。
子宮頚管縫縮術には
シロッカー法とマクドナルド法があること
子宮頚管縫縮術が行われる時期は
予防的に行うのか治療的に行うのか
で違いましたが、遅くとも妊娠27週頃までには
行われるのが一般的です。
シロッカー手術かマクドナルド手術か
どちらがよいのかについては、
まだ議論されているところですが、
一般的には、できるのであれば
シロッカー手術を選択されることが多いようです。
子宮頚管縫縮術の合併症やリスクは
感染や破水などがあり、2%以上の方で
起こります。
子宮頚管長が短いとそれだけ破水のリスクが
上がってくるので、注意が必要です。
誰かの参考になってくれると嬉しいです。
女医ブログを読んでいただいて
ありがとうございました。
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コメント
はじめまして。先日29週でマクドナルド手術を行った初産の妊婦です。手術後お腹の張りがあり5日程入院していました。退院の日に検診で縛ったところが少し緩んでいるため再手術の検討をすると言われました。今は自宅で安静にしていますが不安で不安でたまりません。こんなことあるのでしょうか?
30Wさん
コメントありがとうございます。
本当に不安ですよね。お気持ちよくわかります。
そんな中連絡をくださってありがとうございます。
私はシロッカー手術をしていますが、実は30Wさんと同じように
「手術をしたところが緩んでいる」と言われ、再入院になりました。
このことについて後輩の産婦人科の医師に質問をしたのですが、
「手術のあとに子宮頸管の熟化(柔らかくなること)が進むと、緩むことがあります。
手術の時に渾身の力をこめて紐を括りますが、その後に子宮頚管が柔らかくなると、
紐が頸管に食い込み、紐が余ってしまいます。そうすると結果として緩むことになります。」
と言われました。
本来、子宮頚管の塾化が起こるのは、正産期近くになってからなので、
手術後に緩む人はどちらかといえば、少ないようです。
ただし、その後その後輩は
「紐が緩んでも、ほどけたりずれたりはしないので、破水か感染か陣痛が
来ない限りはまず出てこないし、大丈夫ですよ。」とも言っていました。
30Wさんはどうして緩んでしまったのでしょう?
私は、とてもお腹が張りやすい体質だったので、
お腹が張る(陣痛に近い)→赤ちゃんが出たがっている→子宮頚管が柔らかくなる
というサイクルで柔らかくなったと思います。入院して、
ウテメリンとマグセントの点滴でお腹の張りを止めてから(それなりには張ってましたが)
熟化は進まず、最終的に37週の手前まで頑張れました。
30週さんも本当に不安だと思います。特に一人目は私も辛くて辛くて。
30Wさんが無事に正産期まで過ごせるよう、遠くからですが、心から祈っています。
そして、元気な赤ちゃんが産まれますように。
もし質問の回答が分かりにくければ、再度質問頂けると嬉しいです。