女医ブログをお読みいただき
ありがとうございます。
今回は、切迫早産でお腹の張りを抑えるために
投与しているマグセントの点滴を終了後に
張り返しが来るのかどうか?
そしてそのまま陣痛/出産になるのかどうか
というところをみていきたいと思います。
目次
マグセント終了後の張り返しは?
切迫早産で入院をし、
ウテメリンの点滴で
お腹の張りが抑えられない
もしくは
ウテメリンが使えない
という方はマグセントを
投与されていると思います。
そして、子宮収縮抑制剤(お腹の張り止め)を
長期間点滴をした後に、点滴を抜くと
張り返しがきて、そのまま陣痛→出産になる
という話を聞かれたことがあるかもしれません。
私も入院中に
点滴を抜くタイミングになって
助産師さんや看護師さん
産婦人科の先生に
「張り返しがくるかもー。」
といったようなことを言われました。
そこで気になって、
入院中に、張り返しについて調べましたが、
経験談のようなものしかなく、
実際はどうなっているのかが
わからなかったので、きちんと調べてみました。
色々と専門的な文献をあたってみたり、
英語でも調べてみましたが、
全く研究がなく、データがありませんでした。
その理由はいくつかあると思いますが、
- 諸外国では、切迫早産で長期点滴をする
治療が行われない(最大48時間)ので、
張り返しという概念自体がなく
研究にならない。
詳しくはこちらの「病院の要因」参照 - 点滴を抜くときは、「産まれていい」と
判断されているため、張り返しが来て
陣痛になっても問題ないため
研究自体がされない。
というのが大きいのではないかと思います。
産婦人科の専門家の意見は?
というわけで、客観的なデータは
みつけられなかったのですが、
気になったので、産婦人科のベテランの先生に
聞いてみました。
聞いてみた先生は、別の病院の産婦人科の部長で
産婦人科歴30年以上の先生2人です。
「子宮収縮抑制薬の点滴終了後の
張り返しってどう思いますか?」
と聞いてみたら、なんと!同じ答えでした。
3分の1は、その日に陣痛になる。
3分の1は、数日以内に陣痛になる。
3分の1は、1週間以上陣痛が来ない。
(予定日超過の人も少しいる。)
ということでした。
このうち、その日のうちに
陣痛になった人というのが、
張り返しでそのまま陣痛に
移行した人なのではないか
と思います。
つまり、張り返し→陣痛になるのは
3分の1くらいという
ことでしょうか?
ちなみに、
「どんな人が張り返しから
陣痛になりやすいのか」
も聞いてみました。
「点滴の量が多かった人は、
よく張り返しを言ってくるけど、
それが陣痛に繋がるかどうかは
その人によるね。
結局、赤ちゃんが出てきたい時に
出てくるんじゃないかな。」
という、答えでした。
なんとなく、この人陣痛になりそうだな、
という勘みたいなものである程度
わかるようですが、
言語化できないとおっしゃっていました。
しかし、それでは納得できない!
ということで、薬の代謝の時間から、
張り返しが来そうな時間を予測してみました。
マグセント終了後の
張り返しの時間(予測)
マグセントの点滴を終了後いつ頃に張り返しが
来るのかを予測してみました。
最初に結論から書きますので、
詳細説明を読みたい方は、続きも読んでください。
健康な女性の場合
(腎臓や肝臓の機能などに問題がなく、
何も病気を持っていない方)は
点滴を中止して
4時間で血の中の濃度が半分になり、
20時間でほぼ完全に体内から消失する
と考えられます。
つまり
点滴中止後4時間~20時間の間に
張り返しは起きやすい
のではないかと考えます。
ですので、その時間を経過すれば、
張り返し⇒陣痛になることはないと思います。
ただし、普通にお腹が張ってそこから
陣痛になる可能性はありますので、
いつお腹の張り⇒陣痛⇒出産になっても
おかしくないことだけはご理解下さい。
マグセントの点滴終了後の
張り返しについての詳細
健康な成人の
マグセントの点滴の投与をやめた場合
マグセントの半減期は4時間ほどです。
※半減期とは
薬の投与をやめた時に
血の中の薬の濃度が半分になる時間。
そして、体内から完全に消失する
(3%以下になる)までの時間は
半減期の4-5倍の時間です。
計算式は
半減期を5回繰り返した場合、
(0.5)5=0.03125 となり、
3%近くまで濃度が低下すること
になります。
マグセントが完全に体内から消失したと
言えるまでにかかる時間は
16時間から20時間になります。
マグセント終了後の張り返しから
陣痛/出産になるの?
ここからは経験談になります。
私は長男の妊娠した時、
ウテメリンを最大量
マグセントも最大量使用していました。
そして、妊娠36週0日の時に
マグセントを終了しました。
確かに、お腹の張りの頻度や、
一回一回の強さは強くなりましたが、
陣痛出産には至りませんでした。
そして、妊娠36週3日の時に
ウテメリンの点滴を終了しました。
この時は明らかにお腹の張りの
頻度が増えました。
が、家に残っていた
ウテメリンの内服を飲むと
お腹の張りが遠のきました。
※妊娠36週を超えて
ウテメリンの内服は推奨されていません
陣痛にしたくなくて
自己判断で勝手に飲んでいました
結局、妊娠36週5日の朝に
陣痛が来て、出産になりました。
次男を妊娠していた時も
ウテメリン最大量
マグセントも投与していました。
今回は、長男の時のこともあったため、
妊娠36週6日にウテメリン・マグセントの
両方を同時に終了しました。
そしたら、終了8時間後に、
強いお腹の張りが来たのと同時に
破水!そのまま陣痛出産になりました。
この強い張りというのは張り返しで起きたの
かもしれないなぁと思っています。
【女医ブログ】
マグセント終了後の張り返しのまとめ
今回の女医ブログはマグセント終了後の
張り返しについてみてきました。
・マグセント終了後の張り返しは?
産婦人科の専門家の意見は?
・マグセント終了後の張り返しの時間(予測)
マグセントの点滴終了後の張り返しの詳細
・マグセント終了後の張り返しから
陣痛/出産になるの?
などをみてきました。
マグセント終了後に
張り返しから陣痛/出産に
なるのかについては
全く研究がされておらず、
客観的なデータは存在しませんでした。
産婦人科の専門の先生の意見としては
点滴を抜いた当日に陣痛/出産になる人は
3分の1程度だということです。
また張り返しの時間の予測をしてみました。
マグセント終了後、4~20時間後に
張り返しは起きやすい!と考えられます。
あくまで予測ですが参考にして下さい。
また自身の経験談についても書かせて頂きました。
しんどい中、女医ブログを最後まで
お読みいただきありがとうございました。
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