【女医ブログ】切迫早産の治療薬ウテメリン(リトドリン)の内服/点滴の効果・副作用・胎児への影響

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女医ブログをお読みいただき

ありがとうございます。

今回は切迫早産の治療について

書いていこうと思います。

切迫早産の治療薬は

  • ウテメリン(塩酸リトドリン・ウテロン)
  • マグセント⇒こちら
  • プロゲデポー(筋肉注射の薬)⇒こちら
  • 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)⇒こちら

などがあります。

外来通院されている方は、

ウテメリンの内服

(+当帰芍薬散)

(+プロゲテポー)

の方が多いと思います。

カッコ書きのところは、

病院によって異なります。

私は全て投与経験があります。

その投与経験も踏まえて、

治療について書いていこうと思います。

今回はウテメリンについてです。

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ウテメリン

【使用状況】

妊娠16週~妊娠37週未満の

早産の危険のある妊婦さんに使用します。

※早産の危険とは

  • お腹が頻繁に張る
  • 子宮頸管長が短い
  • 子宮頚管が柔らかい
    子宮頚管が開いている
  • 出血・破水がある

などがある方です。

【主作用】

子宮の筋肉の収縮を抑え、

早産を防ぐ作用がある。

【副作用】

  1. 動悸
  2. 頻脈
  3. 手の震え
  4. 吐気
  5. 顔が赤くなる
  6. 皮膚のぶつぶつ
  7. 血糖の上昇
  8. 肝機能障害
  9. 横紋筋融解症(非常にまれ)
  10. 汎血球減少(非常にまれ)

副作用の1-4はとても高頻度で

認められる副作用ですが、

数日たてば落ち着いてきます。

5-9までの副作用がが強く出た場合は、

ウテメリンの投与は中止になります。

私は、ウテメリンの飲み薬を

使用していた時は、薬を飲んでから

20分くらい後に動悸を感じました。

点滴を始めてからは

1-3の副作用がでましたが、

数日で落ち着きました。

点滴量をあげると、また同じようになり

数日でおさまるの繰り返しなので、

結構長期間、副作用は出ていたと思います。

あと、ウテメリンの点滴が始まると、

暑い!です。

私は冬に入院していましたが、

部屋の暖房はいりませんでした。

ウテメリンの内服と点滴の違い

肝臓に対しての負担度が違う

ウテメリンの内服6錠と点滴での

最低投与量が同じくらいの濃度です。

※点滴の最低量

点滴500mlにウテメリン50mg

(ウテメリンの注射薬1本分)

を溶かし15ml/hの速度で投与する。

ウテメリンを内服で飲む場合

1日の上限が6錠です。

それ以上は肝臓で代謝ができないからです。

内服で投与(A)した場合、

肝臓で代謝され(B)、子宮に作用します。

点滴で投与する場合は

肝臓で代謝された後の状態のもの(B)を

直接血管にいれます。

肝臓で代謝しなくてもいいため、

肝臓の負担が少なく、多くの量を

投与することが可能になります。

肝臓に代謝されたあとの状態のもの(B)は、

飲み薬として飲むと、腸で分解されてしまうため、

飲み薬ににすることはできません。

血の中の薬の濃度が違う

また、点滴で投与している場合は、

血の中の薬の濃度が常に一定です。

飲み薬で飲んだ場合は、

薬がしっかりきいている時と

そうでない時の山ができます。

例えば薬を6時、12時、18時、24時で

ウテメリンを飲んだ場合、

薬を飲む直前の血の中の濃度は低くなります。

そのタイミングでお腹が張るという方が多いです。

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ウテメリンの赤ちゃんへの影響

ウテメリンは胎盤を通り、

赤ちゃんの体にも入っていく薬です。

ですので、頻度はとても少ないですが

影響はゼロではありません。 

胎児に心不全,頻脈,不整脈があらわれることがある。

また,新生児に腸閉塞,心不全,

可逆的な心室中隔壁の肥大,低血糖症,

頻脈,腎機能障害があらわれることがある。

ウテメリン注50mg 添付文書

添付文書上は、上記のような副作用の報告があります。

難しい単語も多いので、詳しく説明はしませんが、

確率としてはとても小さいです。

早産するということ自体が

胎児にとってはリスクです。

日々医学は進んでいますが、

やはり早産児は様々なトラブルを

抱えることになります。ですので、

早産のリスク >>> ウテメリンの副作用

となるため、切迫早産の妊婦さんの多くは

ウテメリンの投与をするのです。

ウテメリンをいつやめるかの判断は、

母親/胎児(赤ちゃん)の状況を考え

主治医が判断します。

まとめ

  • ウテメリンは子宮収縮を抑え、早産を防ぐ効果があります。
  • 副作用は様々ありますが、数日で治まってきます。
  • ひどい副作用が出た場合は、投与中止になることもあります。
  • 赤ちゃんへのリスクもゼロではありませんが、
    早産のリスクの方がはるかに高いです。

長文を読んでいただきありがとうございました。

ウテメリンとリトドリンの違いや問題の比較はこちら

実際にウテメリンを使用した経験談はこちら

気になるキツネをクリック!

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