【女医ブログ】切迫早産治療薬のマグセントの適応と効果/副作用、赤ちゃんへの影響

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女医ブログをお読みいただき、

ありがとうございます。

今回は切迫早産の治療薬、

子宮収縮抑制薬である

マグセントについて、

・ウテメリンとの違いや

・どのような時に使うのか(適応)

・効果や副作用、赤ちゃんへの影響

などを詳しく見ていきたいと思います。

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切迫早産の治療について

切迫早産の治療薬はウテメリン(内服・点滴)

マグセント,当帰芍薬散、プロゲテポーなどが

あります。

そして、ウテメリンとマグセントが、

お腹の張り(子宮の収縮)を抑える薬に

なります。

ウテメリンとマグセントの違いは?

では、ウテメリンとマグセントの

違いはなんでしょう?

薬の作用の場所と仕方が違います。

少し難しい話になりますが、

ウテメリンは、交感神経を

刺激する薬になります。

交感神経が刺激されると、

子宮収縮は抑制されるのですが、

同時に心臓がどきどきしたり、

消化管の動きが悪くなったり

という作用もでます。

ウテメリンの場合は、

子宮の張り(子宮の収縮)が

抑えられるのが主作用です。

そして心臓がどきどきしたり、

消化器系の動きが悪くなり、

吐気や便秘の症状が

副作用として感じられます。

マグセントの場合は

全身の筋肉を脱力させる

作用があります。

とても簡単に説明すると

筋肉の収縮に必要な電解質の

バランスを崩すことで作用します。

マグセントの主成分のマグネシウムは

微量元素と言われ、電解質の一つです。

そのマグネシウムの体内での量を

増やすことでバランスを崩します。

子宮も筋肉ですが、心臓や、

その他の身体のいたるところに

筋肉はあります。

(瞼なども筋肉で動いています。)

その全ての筋肉をゆるめる作用があります。

ですので、

ウテメリンは、交感神経のみに作用し、

子宮の収縮を抑えるのですが、

マグセントは、

全身の電解質のバランスを

崩しているので、

ウテメリンに比べ、

副作用が重たくなる傾向があります。

マグセントの作用機序がわかったところで、

順に、マグセントがどんな薬なのか

みていきましょう。

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マグセントの適応

マグセントの適応(使用状況)に

ついてみていきます。

妊娠22週以降に使用します。

切迫早産と診断され、

子宮収縮抑制剤が必要になった場合

緊急性がなければ、

まずは、ウテメリンの内服

処方されることが多いです。

それでもお腹の張りが抑えられない場合は、

ウテメリンの点滴を使用します。

それでもお腹の張りが抑えられなければ、

やっとマグセントの出番になります。

ただし、ウテメリンの副作用が強い場合は、

ウテメリンは中止もしくは減量し、

マグセントを使います。

ウテメリンの強い副作用は色々とありますが、

血液検査で、肝臓の数字が異常高値になる

皮膚にひどいブツブツができる

妊娠糖尿病が悪化する

などの場合が多いです。

(稀なものもいれると他にも沢山あります。)

また病院によって、方針が違うのですが、

ウテメリンの点滴を最大量まで使用してから

マグセントを追加する病院と

ウテメリンの点滴がある程度の量になったら

マグセントを追加する病院とがあります。

また、人によっては、

ウテメリンが効きにくい人がいます。

ウテメリンの量を増やしても

全然子宮の収縮が収まらない場合は、

早々にマグセントの投与が始まることも

あります。

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マグセントの効果/副作用

マグセントの効果(作用)

先ほども説明しましたが、

マグセントのメインの作用は

子宮の収縮を抑制し、早産を防ぐことです。

全身の筋肉に作用するため、

全身の筋力が弱くなります。

作用は強いですが、副作用も強いです。

マグセントの副作用

マグセントの副作用はとても多いです。

一部を記載しておきます。

・倦怠感    ・口渇(口が乾く)

・脱力感    ・顔が赤くなる

・光が眩しい  ・瞼が落ちてくる

・頻脈     ・体熱感(体が暑い)

・血管痛    ・味覚障害

・高マグネシウム血症(マグネシウム中毒) など

マグセントの副作用は、本当にしんどいです。

同室の方が、産婦人科の主治医の先生に

「本当になんでもするから、

マグセントだけはやめてほしい」

ってお願いしてました・・・。

もちろん同日にマグセント

開始になってましたが・・・。

マグセント開始後、数日は本当にしんどくて、

動く気力もありません。

シャワー行っていいよ、とか、

体拭いてとか言われても

今日はやめときます。ってなります。

それにめちゃめちゃ暑い!です。

マグセント投与してる人は

冬でも普通に半そでで夏の格好してました。

それに+氷枕が必須でした。

長男の妊娠の時にマグセントを

最大量使用していて、

本当にしんどかったです。

そして次男の妊娠の時に

マグセント始めるねって言われた時

抵抗はしませんでしたが

ため息はでました。

そしてやっぱりしんどかったです。

マグセントを投与中は

高マグネシウム血症にならにように

定期的にマグネシウムの採血を行います。

先ほども書いたように、全身の電解質の

バランスを崩すお薬なので、

気を付けて使う必要があるからです。

採血でどんなことを見ているのか

高マグネシウム血症になったらどうなるのかが

詳しく知りたい方はこちらを参照下さい。

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マグセント投与中はしっかり水分補給を!!

マグセントを投与している時は、

しっかり水分補給することが大切です。

点滴で投与されたマグセントは腎臓から

つまり尿(おしっこ)で外に出ていきます。

しんどくて、水分をとらずに尿の量が減ると

マグセントが外に出ていけなくなるため、

血の中のマグセントの量が必要以上に

増えてしまい危険です。

ですので、いつも以上にしっかりと

水分をとって、トイレに行くようにしてください。

マグセントには、口が乾くの副作用があるため、

いつもより水分を沢山飲む方が多いのですが、

副作用でしんどくて、

それもできなくなる方がいます。

でも、水分だけはできるだけ

沢山飲むようにして下さい。

ちなみにトイレに行く時には

転倒注意です!

筋力が落ちていて、お腹は大きくて、

足が脱力しているのでとっても危険です。

地面に座ってしまうと

立ち上がるのもやっとです。

ご注意下さい。

マグセントの赤ちゃんへの影響

マグセントの赤ちゃんへの影響を見ていきます。

マグセント=マグネシウムは胎盤を通過します。

ですので、お母さんはしんどいということは

赤ちゃんもしんどいと思います。

(本人には聞けませんが・・・。)

マグセントの投与が開始になると

胎動の頻度や強さが明らかに弱くなります。

本剤の投与による新生児への影響について、

哺乳力不良、呼吸抑制、呼吸停止、

心停止、尿量減少、傾眠、筋緊張低下、

急性腎不全、心室細動、心機能障害、壊死性腸炎、

三尖弁閉鎖不全症、上皮小体ホルモン(PTH)減少、

胎便栓症候群、痙攣発作、死亡率の上昇24)、

脳室内出血の増強25)、脳性麻痺の増加26)、

一過性と考えられる骨の異常所見

(上腕骨近位側骨幹端に放射線透過性の

横断像や皮質の菲薄化等)27,28)、

動脈管開存症の発生率の上昇29)

が認められたとの報告がある。

マグセント®注100ml 添付文書

添付文書上では、上記報告があります。

難しい言葉が多すぎるので、

詳しくは説明しませが、

上記に書いてあることをまとめると、

頻度は少ないですが、

やはりマグセントの点滴は

赤ちゃんに少ないながら害を与える

可能性があるということです。

哺乳力低下(おっぱいに吸い付く力が弱い)や

呼吸抑制(呼吸が弱い)、

傾眠(よく寝ている)などは、

それなりの頻度で

見られるようですが

48時間以内には

よくなることが多いようです。

それ以外の病気については

頻度は少ないと思います。

さらに、マグセントの副作用だけでなく、

早産した場合にも同様の状態になる時があります。

マグセントを投与中に早産し、

赤ちゃんが何らかの病気になった場合、

それが、マグセントなどの薬の影響なのか、

それとも早産したからなのか・・・

ほとんどの場合はわかりません。

色々述べましたが、

何より早産するということ自体が

胎児にとってはリスクです。

日々医学は進んでいますが、

やはり早産児は様々なトラブルを

抱えることになります。

ですので、

早産のリスク>>マグセントの副作用

となるため、お母さんは副作用に耐えてまで

マグセントの投与をするのです。

いつまでマグセントを投与するかは、

母親/胎児(赤ちゃん)の状況をみて、

主治医が判断することになります。

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マグセントのまとめ

今回は切迫早産の治療薬である

マグセントについて詳しく見てきました。

・切迫早産の治療について

ウテメリンとマグセントの違いは?

・マグセントの適応

・マグセントの作用/副作用

・ マグセント投与中はしっかり水分補給を!!

・マグセントの赤ちゃんへの影響

をみてきました。

切迫早産の治療薬として使われる

子宮収縮抑制剤のウテメリンとマグセントの

違いを見てきました。

ウテメリンは交感神経を刺激することで作用し、

マグセントは全身の電解しつのバランスを

崩すことで作用します。

マグセントの適応としては

妊娠22週以降にウテメリンに次ぐ

2番目の薬として投与されるお薬です。

マグセントの作用/副作用は

強力に子宮収縮を抑える代わりに、

副作用もたくさんあり、かなりしんどい

という話をしました。

またマグセント投与中は

しっかり水分を飲むようにしましょう。

マグセントは赤ちゃんにも影響をする薬です。

しかし、早産するのもよくないので、

いつまで投与するのかは

主治医と相談しましょう。

マグセントを投与中の方、

本当にしんどいし

沢山の不安があると思います。

本当に本当にお疲れ様です。

そんなしんどい中、女医ブログを最後まで

読んでいただきありがとうございました。

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