女医ブログをお読みいただき
ありがとうございます。
切迫早産での入院が長くなると、
点滴がもたなくなってきます。
その原因は色々とありますが、
1日に何回も差し替えてもらう人もいました。
点滴の差し替えって本当に辛いですよね。
私は沢山の人に点滴・注射していますが、
自分が刺されるのは大っ嫌いです。
(ダメ人間・・・。)
点滴が漏れやすくなる原因や、
漏れた時の対処法
そもそも漏れにくくするには
どうしたらいいのかをまとめようと思います。
目次
点滴が漏れやすくなる原因
原因①血管がもろくなるため
点滴は基本的にできるだけ血管に
負担をかけないように
中身が調整してあります。
しかし、薬剤+点滴を24時間ずっと投与し続ける
という状況は普通ではありません。
そもそも、血管の壁に穴が開いて、
そこから薬が入ってくるなんてことを
想定して体は作られていません。
ですので、点滴の期間が長くなればなるほど、
血管はダメージを受け、もろくなってきます。
さらに、何度も点滴を刺し替えていくと、
前の点滴の跡が皮膚に残っていきませんか?
血管の中の状況も同じようになっています。
つまり点滴を刺した場所の血管の壁は
ふさがってはいますが、傷としてずっと残ります。
その部分も何もない状態の血管よりはもろくなっています。
ですので、点滴の期間が長くなればなるほど、
刺し替える回数が多ければ多いほど
血管はもろくなり、点滴は漏れやすくなります。
原因② 血管がなくなってきて、
細い血管を使うようになるため
点滴が漏れる原因は、実はほとんどこちらだと思います。
太い血管と細い血管の何が違うのでしょう?
太い血管と細い血管の違い①
血管が太いということは、血管の壁の細胞が
何重にも重なっているということです。
例えば、太い血管は細胞が5列に重なっていて、
細い血管の細胞が1列しかないとします。
同じようにダメージを受けた時、
どちらの血管が漏れるかは明らかです。
当然、細胞が1列しかない細い血管ですよね。
普通はそういう血管は点滴には使いません。
でも入院が長くなってくると
刺す場所がなくなってきて、使うしかないのです。
太い血管と細い血管の違い②
太い血管には沢山の血液が流れています。
細い血管には少しの血液しか流れていません。
同じ量・同じ濃度の点滴を入れた時に
早く濃度が薄まるのはどちらでしょう?
もちろん、沢山の血液が流れている太い血管の方ですね。
つまり、すぐに薬剤の濃度が薄くなるため、
血管がダメージを受けにくいのです。
この2点より、
太い血管は
・血管の壁が何重にもなっている
・薬剤の濃度がすぐ薄くなる
という特徴があり、ダメージ自体も受けにくく、
ダメージを受けたとしても漏れにくいです。
細い血管は
・血管の壁が薄く
・薬剤の濃度がなかなか薄まらないので
ダメージを受けやすいうえに
ダメージを受けた時にすぐ漏れる
ということになります。
実際私は入院中、ずっと点滴をしていました。
私の腕には左と右に1本ずつ太い血管があります。
その太い血管に点滴をしたときは、
漏れることはありませんでした。
(1週間に1回刺し替えがありましたが、それまでもちました。)
しかし、ベテラン看護師さんが、
「いつも同じ血管だと負担がかかるし、
他のにしましょうか。」とか言って、
いつもより細い血管に刺すと、数日でもれました。
右も左もです。
ですので、いかに太い血管を探していれてもらうか。
ということが大切になります。
点滴の部分が腫れる、
赤くなる原因は?対処方法は?
腫れる時と赤くなる時はだいたい原因は同じです。
なので合わせてみていきます。
大きな原因は3つあります。
①点滴が漏れた。
②点滴の部分からばい菌が入って感染症を起こした。
③貼ってくれたテープにかぶれた。
①と②は症状もよく似ています。
点滴の針の周りが赤くなり、腫れてきて、押すと痛いです。
触ると熱をもっているように感じることもあります。
ただし、切迫早産の妊婦さんの場合は、
ほとんどが感染ではなく点滴の漏れです。
差し替えれば数日で治まることがほとんどです。
上記のような症状がでた場合は、
必ず看護師さんに相談しましょう。
③は見たら明らかです。
テープを貼った位置がそのまま赤く腫れてきて、
かゆーくなります。
テープの形そのままで赤くなってきますので、
すぐにわかります。
この場合は、テープを変更してもらって、
赤くなった部分に塗り薬を
出してもらって塗れば解決します。
点滴の所が痛くなる原因は?対処方法は?
痛くなる原因は沢山あります。
順番に見ていきましょう。
①点滴が漏れた。
②点滴の部分からばい菌が入って感染症を起こした。
③点滴を刺した位置が悪く、刺した所の皮膚が痛い。
④点滴を刺した位置が悪く、刺した所の血管が痛い。
⑤長期で点滴をしている間に何度か触ってしまい、
点滴の位置が動いて痛くなる。
⑥薬剤の副作用の血管痛で痛い。
の6つがあります。
①②は、上の腫れる/赤くなるの所で
書きましたので、そちらを参照して下さい。
③④点滴を刺した位置が悪く、皮膚や血管が痛い。
これについては、予測が難しいです。
痛みを感じる神経は、皮膚表面と血管の外側の表面を
主に走っています。
当然ですが、私達にも神経は見えません。
ですので、痛みを感じる神経の近くに
針を刺してしまうかどうかは刺してみないとわかりません。
また血管の中央に点滴の針が入っていたらいいのですが、
横の方に入ることもあります。
それが原因で痛いこともあるのですが、
これも見た目ではわかりません。
つまり、これについては刺してみないとわからないし、
なんとも言えないということです。
なった場合の対処法は、
まず固定のテープを変えてもらう。
固定が変わると、少し針の位置が動くので、
それで痛くなくなることがありあす。
それでも痛くて我慢できないようであれば、
刺し直してもらうのをお勧めします。
また、痛みだけでなく、腫れや、赤みを伴ったら、
漏れているかもしれないので、必ず看護師さんに報告しましょう。
⑤長期で点滴をしている間に何度か触ってしまい、
点滴の位置が動いて痛くなる。
これは、動かさないよう、触らないように気を付けて下さい。
としかいいようがありません。
トイレやシャワー、洗面も点滴と一緒ですし、
寝ている時もつけっぱなしなので、
触ったり引っ張ったりしてしまうことが
あるのは、よくわかります。
同室の方は
利き腕の手首の近くに点滴があって、
使うのでどうしても触ってしまうと言っていました。
やはり、数日後には、点滴を刺してある場所が痛くなり、
その翌日に漏れて刺し直しになっていました。
この場合は、最初に刺した場所が悪いと思いますが、
やはり、触っていると漏れてしまうので、やめましょう。
⑥薬剤の副作用の血管痛で痛い。
これは辛い副作用です。私もマグセントで経験しました。
点滴が開始されてから、明らかに腕がいたくなります。
でも、点滴の所をみても、特に問題なさそうです。
しばらくすると少し赤くなることがあります。
(血管に沿って赤みが出てくることもあります。)
押すと痛いです。これも血管に沿って
肘くらいまで痛いこともあります。
量が増えるとそれに伴って痛みも増します。
これが血管痛か!と思いまいた。
冷やしたり温めたりもしましたが、
あまり変わりませんでした。
ものすごい激痛になる方もいるようです。
これは薬の副作用なので、薬をやめればなくなります。
しかし薬をやめるかどうかは主治医との相談になります。
どうしても辛い場合は相談してみましょう。
点滴が漏れた時の対処法
点滴が漏れた場合は、点滴の刺し替えをしてもらう必要があります。
点滴が漏れている時は
- 点滴の所が赤くなっている
- 点滴の所が腫れている
(徐々に大きく広がってくる) - しこりみたいなものができてくる
- 痛い
- 点滴が落ちていない
(アラームがピーピーなる)
のような症状がでます。
当てはまったら、看護師に報告しましょう。
刺し替えが嫌で、粘る方もいます。
(気持ちはとてもよくわかります。)
しかし、明らかに漏れているのにほっておくと、
腫れや赤みがひどくなり、
その周囲の血管もしばらく使えなくなります。
そうすると血管の選択肢が少なくなり、
細い血管が選ばれることになりますので、
漏れた場合は、粘らずに、刺し替えをしましょう。
また点滴が漏れた部分が腫れて痛みが強い場合は、
冷やすとましになりますので、保冷剤で冷やしましょう。
(看護婦さんに言えば持ってきてくれます。)
点滴が漏れた部分の皮膚に異常がでた場合は、
看護師さん、医師に報告しましょう。
(たまにブツブツが出たりもします。)
点滴をできるだけもたせるために
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